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となるとこの野放図な大きさがどうしてもアダとなる。
でかいガレージ、進入のかんたんな駐車場にめぐまれているなら、これを買ってもそう苦労しないですむだろうが、ドアを半聞きにして身体をよじり出すような駐車スペースしかないなら(それが日本は実に多いのだ)、別のクルマを考えたほうがよかろう。
ライバルといえば、このクラスのFFセダンではNからティアナが登場している。
こちらは全幅が1765ティアナはこの2車と同じV6ながら、お値段は225万円からといたってお安い。
しかも内装のセンスがいいときている。
320万円から386万円のウィンダム/プロナードにとっては、売れないところにもってきて、イヤなヤツが出てきたなあというところだろう。
クルマの室内をシャンデリアの垂れ下がった応接間であるように望んだ。
メーカーだってお客様は神様だから、そんなの悪趣味だと百も承知で、要望に応える。
しかもそいつを、コストを掛けずにやろうとするから、ますますむごたらしいことになる。
昨今、日本のユーザーも少しずつ意識が変わってきており、三流クラプのようなくどくどしいインテリアは貧乏臭いと思いはじめている。
マークⅡ、ローレル的な、ぜいたくに見えますよというクルマが売れなくなったのも、この動向と無関係ではない。
そこに登場したのがティアナだ。
ティアナはこれまでのインテリアの発想を一から見直し、ごくシンプルかっモダンに室内をデザインすることを狙った。
ティアナは、そのアイディアの源を近代的な北欧家具やル・コルピュジエ、フランク・ロイド・ライトあたりの近代デザインに求めている。
その出来はなかなか魅力的なのだ。
こいつは三流クラブから近代的リビングへの転換である。
全長4770mmと、悠々とした大きさのごくオーソドックスなボックスのセダンである。
ドンガラの大きなボディながら、全幅は1765mmと比較的絞られている。
日本でもまあ、妥協できるサイズだ。
ボディスタイルは全体のプロポーションをうまくまとめており、あっさりしたイメージだ。
ここらあたり脂っこく、自己主張の強いヨーロッパ車には見られない感覚である。
インテリアはこれまでの日本車にはない、いたって近代的で心地よいものだ。
シートは凝ったデザインがなされ、薄手ながらフワット身体を受け止める湾曲したパックレストをもつ。
全体に柔らかめだが、シート生地に工夫をこらして、身体はしっかりホールドされる。
見ているだけでちょっと座ってみたくなる気にさせるだけでもたいしたものだ。
シート生地は織物、スウェード、ダブルラッセルの3種があり、生地によってそれぞれ黒、ベージュ、紺が選べる。
色調、タッチとも上品だ。
長大なホイールベースを利して、4人の大人がゆったりと乗れるスペースがある。
5人乗ってもそう不満はないであろう。
この室内の広々感は、ひとつにはこの薄手のシートにもよるだろう。
トランクルームは深くて広大である。
ファミリーヵーとして十二分のスペースユーティリティが確保されている。
インパネまわりは柾目調のプリントパネルが貼られ、直線を強調したもので、なにやら日本家屋を思わせる。
といってもけっして違和感はなく、スツキリとまとまってモダンである。
一点豪華主義でホンモノの木を使ったらずっとよくなったと思うのだが。
エンジンはV6と4気筒で、V6は3・5と2・3ションは3・5にはCVTが載り、2・3と2・5は4速オートマチック。
3・5十CVTはスムーズかつパワフルだ。
このCVTは出来がよく、これだけの大排気量のトルクをうまく吸収して、ティアナを上等に走らせてくれる。
どの速度域からもグイとばかりに太いトルクが得られ、加速は申し分ない。
本来ティアナはFだが、私のオススメは2・3+4速オートマ版だ。
むろん3・5のようなトルクはないが、ティアナのファミリーカーという目的からいって、これで十分な動力性能だと思う。
2・5の4気筒版は雪国でもないかぎりオススメしない。
なんといってもV6エンジンのほうがスムーズだもの。
2・3V6版は225万円と、いたってリーズナブルだし、必要十分の性能を持っている。
しかもセンスのよいインテリアはどのグレードもまったく同じなのだ。
ティアナのライバルはT・マークⅡあるいはウィンダムあたりか。
お値段からすると、この2車はティアナのはるか上にいるのだが、ティアナはV6エンジンだし、その室内の新しいセンス、心地よきからいって大きなアドヴァンスを持つ。
となれば、どう考えてもティアナということになる。
昨今、日本のマーケットでは、つまらないミニヴアンが大人気だが、それは多くのユーザーがクルマに、広くて快適な空間を求めるからだろう。
腐るほどあるどのミニヴァンにもいえるのは、肝心のシートとインテリアがまったくなっていないということだ。
いまのミニヴァンはただ物理的に広いというだけで、ちっとも快適じゃないのである。
これに対してティアナの室内はきわめて快適である。
乗員1人あたりにたっぷりの空間がおどられており、シートにお金がかけられているからだ。
しかも、そのインテリアはいたって趣味がよろしい。
ミニヴアンはスペースを細かく区切った狭苦しい4DKだが、ティアナは同じスペースをゆったり使った1LDKだ。
どうせ住むならこの1LDKのほうが、気持ちがいいに決まっている。
大きなアメリカ向けアコードである。
本来フラッグシツプたるべきレジエンドが塩漬け同然のいま、事実上ホンダの最高級セダンということになる。
昨今、ミニヴアン作りに夢中になっていたHにあって、なにやら忘れ去られたような存在であったが、ミニヴアンブームにかげりが見えてきたいま、Hもこれじゃあかんと目が覚めたか、H手持ちの最新技術があれもこれもと投入されている。
そのひとつは先発のアコードで見せた、HIDSと称する運転支援システムであり、また前方に障害物を感知すると、クルマの判断でブレーキがかかる衝突軽減ブレーキのシステム、さらに巡航中V6エンジンの片パンクを停止させて燃費を稼ぐ技術などまさにハイテクの塊である。
私はインスパイアをHから借り出し、二カ月ほど都内の足(ときおり200回程度の遠出にも使った)として乗ったが、こいつはなかなかたいしたクルマである。
従来のH車より格段に静か、かつスムーズで、このクルマはFFのクラウンをやっている。
しかも、その燃費がよろしく、こいつはほんまに3tかいなと恩わされたほどだった。
Hのエンジン技術はさすがに侮れないものがある。
そもそもベースとなったアメリカアコードが巨大なものだから、インスパイアもでかい。
全長4805mm、全幅1820mm、全高1455mm、ホイールベースだ。
ここのあたりはアメリカ狙いのウィンダムあたりと同じである。
都内のコインパーキングなど、入れるのにたっぷり汗をかかされる。
ま、外寸が大きなぶん、室内スペースには余裕があり、大人4人が悠々乗れる。
トランクルームの容量も文句なしだ。
インスパイアでがっかりさせられるのは、そのボディデザインがいかにも淡泊なことだ。
例によって、プジヨーにならったような吊り目のヘッドランプ、逆台形のフロントグリルと、昨今の流行を無難に採り入れているだけで、まったく押し出しにも個性にも欠ける。
クルマから気が感じられぬ。
これだけの内容のある上級車に似つかわしいデザインではない。
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